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講談社くらしの本

私の好きな原田泰治の絵 心に残る二月の一枚

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私の好きな原田泰治の絵 心に残る二月の一枚

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諏訪市原田泰治美術館の名誉館長でもあるさだまさしさんが、「私の好きな原田泰治の絵」にあげたのは、ハワイ・マウイ島に咲くジャカランダの名木を描いた「ジャカランダの丘」(1990年)。

日本のふる里の風景、自然のなかで慎ましやかに生きる人々の姿を描き続ける原田泰治さん。原田さんと交流のある各界著名人が選んだ「心に残る絵」「記憶に刻まれたとっておきの情景」を集めた著書『私の好きな原田泰治の絵』から、季節に添った今月の一枚をご紹介します。

絵の中に永遠に生きるふるさとの香り

「春の野」 兵庫県三田市 1984年 310×350㎜
三田(さんだ)市ではみごとなレンゲ畑が田を彩っていた。水が豊富で土の良い米どころだけに、まだこうしてレンゲが咲き残っているのだろう。ワラをきれいに積み上げた田植え前の田んぼは、子ども達の格好の遊び場になっていた。                                   (原田泰治)

『私の好きな原田泰治の絵』p.26-27

『私の好きな原田泰治の絵』p.26-27

一面に紅色のじゅうたんを敷いたように咲くレンゲ草。水田の裏作に緑肥(りょくひ)として作られ、田植え前になると青草のまま、すきこんで肥料にされていました。そんな可憐なレンゲ草を描いた『春の野』を「私の好きな原田泰治の絵」にあげたのは、女優の紺野美沙子さんと絵本作家の永田萌さん。
カラーインクを駆使した鮮やかなイラストで知られる永田さんは、この絵に描かれた三田市近くの出身で、「最初にこの絵を見た時は、レンゲ田に遊ぶ子供たちの中に自分もいるような気がした」とおっしゃっています。絵の手前中央に描かれた「つぼき」は、秋に収穫して脱穀したあとのワラを家のように積み上げて乾燥するこの地方独特のもの。幼い日の永田さんは、このワラの家の屋根に上って何度もおじいさんに叱られたのだそうです。

幼稚園のお友達と花の冠や指輪を作ったり、四つ葉のクローバーを探したり⋯⋯。紺野さんが日が暮れるまで遊んだ春の日の思い出は、レンゲ畑の中にありました。絵を見ると楽しかった思い出がよみがえります。「眺めていると優しい気持ちになることが出来る原田さんの絵画が大好き」で、お家には原田さんのカレンダーの定位置があるのだとか。

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三田市でこの風景を描いた原田さんも、幼い日、格好の遊び場だったレンゲ草の田んぼを思い出したと言います。そこは「一歩足を踏みいれると青臭い春の香りが漂った」そうです。
カヤぶき屋根の家が点在する、のどかな風景。「今はもう失われてしまったレンゲの花咲く春の田んぼも、小川のせせらぎも、あの日泰治さんが見たその瞬間が、この絵の中に生き続けている」という永田さん。
「原田さんの絵の一枚一枚が、いつまでも実際に見に行くことができる、本物の景色であり続けて欲しいと願っています」と紺野さん。

原田さんがこの畑を描いてから30年以上が経ちました。しかし永田さんも紺野さんも、そして絵を眺めるすべての人が、レンゲの香りに鼻をくすぐられ、その胸は甘い感傷で満たされます。
構成/からだとこころ編集チーム

私の好きな原田泰治の絵

著者 原田泰治

私の好きな原田泰治の絵

著者 原田泰治

日本人の心のふる里を描き続ける原田泰治の作品。 33人の著名人たちが選んだ26作品を、それぞれのエピソードとともに紹介します。
永六輔さんの好きな絵は佃島の下町の音が聞こえそうな「路地」、萩本欣一さんは「木枯らし坂」⋯⋯。「原田さんの絵は心にしっかり届く」と語る建築家の安藤忠雄さんが選んだのは「友禅流し」。
各地の心に残る四季の風景、小さなふる里のひとコマが広がります。

profile

原田 泰治(ハラダ タイジ)

1940年長野県諏訪市に生まれる。1963年武蔵野美術短大卒業。1973年複十字シール・デザイン・コンクール特選。1980年小学館絵画賞受賞。1982年4月から、朝日新聞日曜版に「原田泰治の世界」を127週にわたって連載。1984~86年「原田泰治の世界展」を全国22会場で開催。1987~88年「ナイーフ三人展-原田泰治とユーゴの仲間たち」を各地で開催。1989年から2年にわたりアメリカ合衆国の5都市で「日本の四季を描く原田泰治の世界」を開催。同展覧会は帰国後、全国33会場を巡回。1998年信州諏訪湖畔に「諏訪市原田泰治美術館」開館。1999年紺綬褒章を受章。2001年11月より2002年にかけてブラジル(サンパウロ、リオデジャネイロ)にて「原田泰治の世界展」を開催。2002年中米3ヵ国(メキシコ、コスタリカ、ニカラグア)にて「日本の心」を伝える絵画展・講演会を開催。2008年郵便事業(株)ふるさと切手「ふるさと心の風景」シリーズを全国発売。2011年財団法人逓信協会第56回前島賞受賞。主な著書に『さだおばさん』『原田泰治自選画集』『日本の歌百選』『日本のふる里』など。

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