twitter
insta
facebook
Youtube

講談社くらしの本

私の好きな原田泰治の絵 心に残る十二月の一枚

twitter
facebook

私の好きな原田泰治の絵 心に残る十二月の一枚

twitter
facebook

諏訪市原田泰治美術館の名誉館長でもあるさだまさしさんが、「私の好きな原田泰治の絵」にあげたのは、ハワイ・マウイ島に咲くジャカランダの名木を描いた「ジャカランダの丘」(1990年)。

日本のふる里の風景、自然のなかで慎ましやかに生きる人々の姿を描き続ける原田泰治さん。原田さんと交流のある各界著名人が選んだ「心に残る絵」「記憶に刻まれたとっておきの情景」を集めた著書『私の好きな原田泰治の絵』から、季節に添った今月の一枚をご紹介します。

落ち葉踏みしめ嫁ぐ朝

「お嫁入り」 福井県勝山市平泉寺町 1983年 310×350㎜
昔ながらの風習が残されているお嫁入り見たさに、勝山市の壁倉集落へ行った。この地方では、披露宴の前に、新婦が嫁ぎ先にあいさつをする。近所の人々が集まり、雨上がりの道の両側には親類が顔をそろえる。お嫁さんは深々と頭を下げて新郎の待つ家に向かった。
                                           (原田泰治)

『私の好きな原田泰治の絵』p.38-39

『私の好きな原田泰治の絵』p.38-39

赤く実ったカキの木の下に集まったのは近所の人たち。車を降りた赤い打ち掛けのお嫁さんが、落ち葉の道を嫁ぐ家に向かう。玄関に入る前、一升マスの中に置かれたこの家の水が入った湯飲み茶わんに口をつけ、その茶碗を割る。しきまたぎと呼ばれ、「一生ここの水で暮らします」という意味が込められているという。

こんな風習を描いた「お嫁入り」を私の好きな一枚にあげたのは、長野市生まれの創作人形作家・高橋まゆみさん。「奥信濃の農道を歩く笑顔のおじいさん」や「庭先で近所の人と花火を見上げる一家」など、〝原田泰治の世界〟とも共通する、ふるさとの思い出の中にいる人形を作り続けています。2010年長野県飯山市に「高橋まゆみ人形館」をオープンしました。
「遠足の子供たち」「たこあげ」「豆まき」⋯⋯。ひらめいて人形を作っても、「必ず先を越されていて既に原田先生の絵にあるものばかり」と、高橋さんは語ります。
「同じ故郷の、近くにあるものを残そうと目を凝らして見つめている先は(原田先生と)同じところを捉えていると思う」けど、「何せキャリアが違う」のだとか。

oncontextmenu=

創作人形 高橋まゆみ「嫁ぐ日」  写真撮影 嶺村 裕

「花嫁さん」を高橋さんは、「嫁ぐ日の父母との別れ」の光景として人形に作りました。

原田さんの「お嫁入り」に描かれた壁倉集落では、集まった近所のおばあちゃんや子供たちに、お嫁さんが近所へのごあいさつ代わりに持参した紅白のまんじゅうが配られます。
早朝からの取材ですきっ腹だった原田さんがいただいたまんじゅうは、甘くまろやかな、若い二人を祝福する味だったそうです。
                                   構成/からだとこころ編集チーム

私の好きな原田泰治の絵

著者 原田泰治

私の好きな原田泰治の絵

著者 原田泰治

日本人の心のふる里を描き続ける原田泰治の作品。 33人の著名人たちが選んだ26作品を、それぞれのエピソードとともに紹介します。
永六輔さんの好きな絵は佃島の下町の音が聞こえそうな「路地」、萩本欣一さんは「木枯らし坂」⋯⋯。「原田さんの絵は心にしっかり届く」と語る建築家の安藤忠雄さんが選んだのは「友禅流し」。
各地の心に残る四季の風景、小さなふる里のひとコマが広がります。

profile

原田 泰治(ハラダ タイジ)

1940年長野県諏訪市に生まれる。1963年武蔵野美術短大卒業。1973年複十字シール・デザイン・コンクール特選。1980年小学館絵画賞受賞。1982年4月から、朝日新聞日曜版に「原田泰治の世界」を127週にわたって連載。1984~86年「原田泰治の世界展」を全国22会場で開催。1987~88年「ナイーフ三人展-原田泰治とユーゴの仲間たち」を各地で開催。1989年から2年にわたりアメリカ合衆国の5都市で「日本の四季を描く原田泰治の世界」を開催。同展覧会は帰国後、全国33会場を巡回。1998年信州諏訪湖畔に「諏訪市原田泰治美術館」開館。1999年紺綬褒章を受章。2001年11月より2002年にかけてブラジル(サンパウロ、リオデジャネイロ)にて「原田泰治の世界展」を開催。2002年中米3ヵ国(メキシコ、コスタリカ、ニカラグア)にて「日本の心」を伝える絵画展・講演会を開催。2008年郵便事業(株)ふるさと切手「ふるさと心の風景」シリーズを全国発売。2011年財団法人逓信協会第56回前島賞受賞。主な著書に『さだおばさん』『原田泰治自選画集』『日本の歌百選』『日本のふる里』など。

fllow us fllow us

このカテゴリーで紹介されている本