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講談社くらしの本

私の好きな原田泰治の絵 心に残る九月の一枚

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私の好きな原田泰治の絵 心に残る九月の一枚

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諏訪市原田泰治美術館の名誉館長でもあるさだまさしさんが、「私の好きな原田泰治の絵」にあげたのは、ハワイ・マウイ島に咲くジャカランダの名木を描いた「ジャカランダの丘」(1990年)。

日本のふる里の風景、自然のなかで慎ましやかに生きる人々の姿を描き続ける原田泰治さん。原田さんと交流のある各界著名人が選んだ「心に残る絵」「記憶に刻まれたとっておきの情景」を集めた著書『私の好きな原田泰治の絵』から、季節に添った今月の一枚をご紹介します。

東京の並木道に見つけた「故郷の風景」

「ケヤキ並木」

「ケヤキ並木」東京都渋谷区表参道  1984年 380×285㎜

表参道のケヤキ並木はみごとなもので、夏の強い日差しをさえぎり、都会に涼しげな木陰をつくる。モダンな店のショーウインドーはいっそう映え、車や人も、木陰でひといきついている。ケヤキ並木は、四季のうつろいを彩る都会の演出家だ。(原田泰治)

『私の好きな原田泰治の絵』p.8-9「ケヤキ並木」

『私の好きな原田泰治の絵』p.8-9「ケヤキ並木」

「私の好きな原田泰治の絵」として、東京の表参道を描いた「ケヤキ並木」をあげたのは、歌手の岩崎宏美さんとデザイナーの杉浦範茂さん。杉浦さんはこの近くに仕事場があり、絵に描かれた並木道は散歩コースでした。

岩崎さんは東京の下町・深川の生まれ。「お正月や夏休みに家族で田舎へ里帰り」という記憶はありません。「故郷=田舎」と思い込み、原田さんの画集に登場する各地の風景を見ては「こんなところが故郷だったらいいなあ」と想いを馳せていたといいます。

そんな岩崎さんが画集の中で「あ~素敵!」ととくに目に留めたのが「ケヤキ並木」。それはなんと東京の風景でした。自分にとっての故郷は、やっぱり生まれ育った東京だったんだと思いながら絵を見ていると、初めて表参道を歩いた中学生の頃の思い出がよみがえりました。都会にもこんなに大きな並木道があることを知り、感動したといいます。「ケヤキ並木」は、岩崎さんに懐かしい思い出を届けてくれる〝わたしの故郷〟の風景でした。

ケヤキは大地にがっしりと根を張り、風に強く、堅くてちみつな材質が、住宅や船材に適していることから、古くから寺社の参道に並木として植えられてきました。明治神宮の参道として整備されたこの道には大正時代に植えられましたが、戦争を潜り抜けたのはごく数本で、大半は戦後に植え替えられたものです。

思い思いのファッションの若者がとぎれることなく集まる木陰。そこで原田さんが出会ったのは、「おっとまて そのゴミちゃんとくずかごへ」のタスキをかけたグループ。地域の住民や商店街の人々が、朝から原宿交通少年団のこどもたちといっしょに町をきれいにしていました。「華やかな町のかげに、心ある人々の地味な行動があった」と原田さん。

描かれた同潤会(どうじゅんかい)アパートが取り壊しになってすでに17年の歳月が流れましたが、ケヤキは町のうつろいを見つめ続けています。

                                   構成/からだとこころ編集チーム

私の好きな原田泰治の絵

著者 原田泰治

私の好きな原田泰治の絵

著者 原田泰治

日本人の心のふる里を描き続ける原田泰治の作品。 33人の著名人たちが選んだ26作品を、それぞれのエピソードとともに紹介します。
永六輔さんの好きな絵は佃島の下町の音が聞こえそうな「路地」、萩本欣一さんは「木枯らし坂」⋯⋯。「原田さんの絵は心にしっかり届く」と語る建築家の安藤忠雄さんが選んだのは「友禅流し」。
各地の心に残る四季の風景、小さなふる里のひとコマが広がります。

profile

原田 泰治(ハラダ タイジ)

1940年長野県諏訪市に生まれる。1963年武蔵野美術短大卒業。1973年複十字シール・デザイン・コンクール特選。1980年小学館絵画賞受賞。1982年4月から、朝日新聞日曜版に「原田泰治の世界」を127週にわたって連載。1984~86年「原田泰治の世界展」を全国22会場で開催。1987~88年「ナイーフ三人展-原田泰治とユーゴの仲間たち」を各地で開催。1989年から2年にわたりアメリカ合衆国の5都市で「日本の四季を描く原田泰治の世界」を開催。同展覧会は帰国後、全国33会場を巡回。1998年信州諏訪湖畔に「諏訪市原田泰治美術館」開館。1999年紺綬褒章を受章。2001年11月より2002年にかけてブラジル(サンパウロ、リオデジャネイロ)にて「原田泰治の世界展」を開催。2002年中米3ヵ国(メキシコ、コスタリカ、ニカラグア)にて「日本の心」を伝える絵画展・講演会を開催。2008年郵便事業(株)ふるさと切手「ふるさと心の風景」シリーズを全国発売。2011年財団法人逓信協会第56回前島賞受賞。主な著書に『さだおばさん』『原田泰治自選画集』『日本の歌百選』『日本のふる里』など。

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