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「年をとると記憶力が衰える」は誤解だった?

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「年をとると記憶力が衰える」は誤解だった?

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ネットやSNSの発達で、医療や健康に関する情報は身近なものになりつつあります。
でも「本当に信じていい?」「何かあやしい気がする」と思うものも。そこで「見極める目」を持つことが必要な時代になりました。多くの具体例から、見抜くポイントを紹介した『教養としての健康情報 ~「それ」本当に信じていいですか』から学びましょう。

思い込みが自信をなくす要因に

「年をとると、物忘れが増える」なんて聞くと、確かに! と頷かれる方が多いのではないでしょうか。
だいたい40歳くらいになると、以前より人の名前を覚えられなくなった……というお悩みを持つ人が増えるようです。でもそれは勘違いかもしれません。最近の研究では「年をとっても覚える力はそれほど衰えない」ことを示す証拠が明らかになっています。

米タフツ大学の研究グループは、18~22 歳の若者と60~74歳の年配者を集めて次のテストを行いました。
「年をとると、どれだけ記憶力が衰えるかを調べます」と伝え、たくさんの単語が書かれたリストを見せます。その後、別の単語リストを見せ、その中に、前のリストと同じものがあるかを言い当ててもらうというものです。
正答率は、若者グループは48%、年配者グループは29%。思ったとおりじゃないか! と言いたくなってしまいますが、面白いのはここからです。
研究者たちは別に、「記憶力テスト」ではなく「言語能力を調べるテスト」と伝えてテストを受けてもらいました。内容はまったく同じなのに、結果は……、若者49%、年配者50%。なんと、差がなくなったのです。
研究グループは「年をとると記憶力が衰える」という思い込みが、自分の記憶が正しいかどうかの自信をなくす要因の一つになっていると指摘しています。

記憶力が衰えると感じてしまうのはなぜ?

ではなぜ、年をとると記憶力が衰えると感じてしまうのでしょうか? 一つの原因は、脳に蓄積された情報の量だと考えられます。
  
年をとり人生経験を積み重ねていくと、脳に蓄積されている情報量は膨大なものになっていきます。いわば図書館に、たくさんの蔵書がある状態です。
誰かの名前など特定の情報を思い出そうとしたとき、蔵書が大量にある書棚から、「どの本に書いてあるのか?」を探そうとしているシーンをイメージしてください。探し出すのに時間がかかったり、結局、探し出せなかったりするのは自然なことですよね。
  
従来は「年をとると、記憶力は衰える」ものだと考えられていました。しかし最新の研究で、加齢による影響は思いのほか少ないこと、そして、加齢による影響を減らす方法もあることがわかってきました。

何かを度忘れしたり、うっかりミスをしてしまったりしたとき、「年をとったから」とあきらめるのではなく、「せっかくだからこれを機会に、脳をフル活用できるよう工夫してみるか!」と前向きに考えることが、脳を元気に保つ「新たな常識」になっていくのかもしれません。

結論
年をとっても「覚える力」はそれほど衰えない。
「思い出す」力を高める工夫をすることが大切

教養としての健康情報

著者 市川 衛

教養としての健康情報

著者 市川 衛

「それ」本当に信じていいですか?

現役NHKチーフディレクターが健康情報のウソ・ホントを徹底検証。

「鼻にワセリンを塗ると、花粉症がよくなる」「1日6時間睡眠を続けると、徹夜明けのようになる」「インフルエンザが流行したとき、マスクをしたほうが予防できる」「お酒を飲むと記憶力がよくなる」……。いま、医療や健康に関する情報があふれています。
その情報は玉石混淆。本当に信じでいいのでしょうか?
健康情報の取材を続けるNHKチーフディレクターが、経験から言えること。本当に「役に立つ」医療・健康情報は思った以上にシンプル。
そのウソ・ホントを見抜くワザをもつと一生役立ちます。具体例を参考にしながら読む進めていくと「健康情報リテラシー(見極める目)」が身につきます。

profile

市川 衛(いちかわ まもる)

医療の翻訳家。NHKチーフ・ディレクター。メディカルジャーナリズム勉強会代表。京都大学医学部非常勤講師。00年東京大学医学部卒業後、NHK入局。医療・福祉・健康分野をメインに世界各地で取材を行う。16年スタンフォード大学客員研究員。【主な作品】「テレビ」NHKスペシャル「腰痛 治療革命」「医療ビッグデータ」ためしてガッテン「認知症! 介護の新技」など。(書籍)「脳がよみがえる・脳卒中リハビリ革命」(主婦と生活社)「誤解だらけの認知症」(技術評論社)など。

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